作品名:〔Palette〕/光と水と緑と風の戯れるサニタリースペース
<講評>
撮影/坂口 裕康
外見はきわめて面白くユニークだが、存在のプログラムがしっかりしていること。非常に周到且つ綿密なスタディを踏まえつつ、プログラムを作って行く過程は碁の布石にも似ていて、ある意味では必然の産物と言える。
万人に合わせるより、数少ないが明確な志向を持つ人を相手にすることで、ビジネスとして成り立ったのも興味深い。そもそもインテリアのプログラムは、万人向けより一人ひとりの要求に応える性質のもので、それが賃貸の集合住宅という「選び選ばれる」関係の中で成立したことが素晴らしい。
既存市街地におけるリニューアル事例としても、手間は掛かるがこうあるべしという、一つのモデルになっている。結果として出来たものは、やはり普通ではないが、これも有り得るインテリアのプログラムであり、しかも新しい価値を提案する新しいインテリア空間である。
(湯本 長伯)
