令和8年度 建築技術の調査研究又は普及活動を応援する助成の決定について
4月から5月にかけて公募した標記の助成について、数多くの申請をお寄せいただきありがとうございました。このたび、下記の通り助成対象を決定いたしましたので、お知らせいたします。
審査経過
助成対象の選考に当たっては、審査委員会を設けて慎重に審査を行い、その審査結果を踏まえて、助成対象を決定いたしました。
建築技術の調査研究又は普及活動を応援する助成審査委員会(敬称略 五十音順)
委員長 中埜 良昭 (東京大学)
委 員 赤司 泰義 (東京大学大学院)
委 員 五十子 幸樹 (東北大学)
委 員 蟹澤 宏剛 (芝浦工業大学)
委 員 鈴木 弘樹 (千葉大学)
委 員 西川 豊宏 (工学院大学)
委 員 橋本 都子 (千葉工業大学)
委 員 林田 康孝 (建築技術教育普及センター)
講評
建築技術の調査研究又は普及活動を応援する助成審査委員会
(公財)建築技術教育普及センター
本助成制度は、建築技術の教育普及が一層促進されることを目的として、平成22年度に実質的に開始されたもので、今年度で17年目を迎えます。
今年度も、幅広い活動内容に関して多くの意欲的な応募をいただきました。本制度の活用により、建築技術の教育普及が一層促進されることが期待されます。
審査に当たっては、以下に記載する観点から各審査委員間で議論を進め、評価を実施しました。
評価基準
調査・研究、普及活動を区別せず募集を行い、以下の評価基準の観点等を中心に審議し、審査を行いました。
- 調査・研究が目指そうとしている成果により、建築技術者の啓発や資質の向上が図られること、国民の建築技術者への理解や信頼を深めることが期待できること、または、建築実務、教育制度のあり方等を提案しようとするものであること。
- 調査・研究の実施方法や体制・行程が明確で実行可能なものであり、掲げた調査・研究の目標を達成しうると判断できること。
- 調査・研究の目的や内容に新規性、独自性が高く、今後の展開の可能性があると判断できること。
- 普及活動を通じて広めようとする内容が、建築技術者が体得すべき建築実務面で有用な知見である、若しくは、国民の建築技術者への理解や信頼を深めるものであると判断できること。
- 講演会などを企画・実施する方法や体制・工程が明確で、実行可能なものであり、期待する効果が発揮できると判断できること。
- これまで毎年問題なく実施している等、申請者の本来の活動として行うべきと考えられるものではないこと。
審査委員会による審査を踏まえて、6件を助成の対象として決定しました。
なお、継続的な応募案件については、これまでの成果や採択継続の必要性について議論を行ったうえで、評価基準(募集案内に掲載)に照らして、選考・決定しました。
助成対象として決定された案件及び案件ごとの選評は、下記の一覧表に掲載しているとおりです。
助成対象案件
助成対象案件(令和8年度分)6件 〔順不同〕
| 名 称 | 実施者 | 選 評 |
|---|---|---|
| 生成AIを活用した対話型エスキス指導が建築設計教育に与える影響および学習支援への活用に関する研究 |
増田 忠史
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建築教育における生成AIの活用や学習支援という先進的なテーマを扱い、対話型エスキスを通じた教育効果の検証や指導法について研究するものである。本研究から得られる知見が新たな建築設計教育のモデルとして広く活用されることを期待したい。 |
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過疎高齢化地域の木造住宅耐震化促進のための技術者教育プログラム策定に向けた高知県土佐市と愛知県東栄町の比較検討
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井⼾⽥ 秀樹 |
過疎高齢化地域における木造住宅の耐震化促進という社会的重要課題を扱い、類似した地域特性を持ちながら耐震改修実績に開きがある2つの自治体を比較分析する事業である。得られた知見を基にした教育プログラム等の成果物が、具体的にどのように社会へ還元され実装されるのかに特に注目しており、これが明示されることで、全国の過疎高齢化地域における耐震化促進と人命救済へ繋がることを期待したい。 |
| 構造・設備・測量を核とする建築・土木融合教育モデルの実践的研究 ―四国内の大学・高専連携による教材開発・実践と高校生への接続― |
多田 豊 (愛媛大学大学院理工学研究科環境建設工学講座・准教授)
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四国地域の教育機関が連携して取り組む建築・土木の融合教育というテーマを扱い、昨年度からの研究を継続し、新たにオンライン教材の活用を取り入れた実践を行う事業である。四国発の連携教材としての実効性を高め、全国の建築教育の発展に繋がり、成果が広く還元されることを期待したい。 |
| 地震で被災した伝統的建造物群保存地区における建築構造学的復旧支援システムの構築 | 西川 英佑 (関西大学・助教) |
能登半島地震からの復興や輪島地域の伝統的建造物群保存地区の復興を目指し、調査研究を継続しているもので、今回新たに構造実験検証をおこなうものである。これらを通じて蓄積される構造的な補強修理に関する知見が伝統木造建築物の安全性確保と復興に役立つことを期待したい。 |
| 建築士に向けた「団地再生・マンション再生基礎講座」(講習会)のテキスト作成 | 砂金 宏和 (一般社団法人団地再生支援協会 副会長・理事) |
既存住宅ストックの再生が社会問題となっている現在において、専門団体の連携のもとで実務的な講習会テキストを作成することは評価できる。特に今回の取り組みでは、複数棟からなる団地型マンションの再生が大きな狙いとして挙げられているため、成果物であるテキストにおいて複数団地型に特徴的な事項を特に強調していただき、もって、本研究が実務を担う建築士等の技術者不足解消と、団地およびマンション再生の推進の一助となることを期待したい。 |
| 都市木造とライフサイクル評価(LCA)の普及・実装に向けた活動 ~論点整理と教育・実務への展開~ | ⼭代 悟 (芝浦⼯業⼤学 建築学部 教授 /芝浦⼯業⼤学 SIT総合研究所サステナブル建築⼯学センター センター⻑) |
中大規模木造の社会実装や普及が急務となっている現在において、これまで積み重ねてきたセミナー実施の成果や豊富な知見をまとめ、テキストを作成する試みは評価できる。本活動を通じた情報発信が、建築技術者や次世代を担う学生の教育・育成を促し、国内外における都市木造のさらなる技術向上と普及の一助となることを期待したい。 |
