3月から4月にかけて公募した標記の助成事業について、調査・研究あるいは普及事業の計画を数多くお寄せいただきました。このたび、下記の通り助成対象を決定いたしました。
なお、あわせて、今後の助成事業の実施予定のおおむねのスケジュールについてもお知らせします。
名称 | 実施者 |
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工業高等学校建築科が目指す人材育成と学習内容に関する調査・研究 | 村田 敬一(東日本建築教育研究会・顧問) |
インテリア環境評価システムの構築とその評価に関する実践的研究 | 加藤 力(インテリア環境評価・研究会) |
建築・都市計画分野に携わる建築技術者の職能・専門性を支える社会システムの変容と再編に関する日・英・独比較研究 | 有田 智一(筑波大学大学院システム情報工学研究科社会システムマネジメント専攻准教授) |
アムステルダム建築アカデミーにおける建築設計実務を取り入れた修士課程教育プログラムに関する調査研究 | 小澤 丈夫(北海道大学大学院工学研究院准教授) |
英国のアーキテクト資格における実務経験要件に関する実態調査 | 瀬口 哲夫(名古屋市立大学名誉教授) |
APEC各国(韓国)での建築設備に係る設計及び設計監理者確定過程おける技術者の関連法制上の役割・責任の割り当ての実態に関する調査・研究 | (社)建築設備技術者協会 |
歴史的建造物の保全・活用のための住民・行政・専門家によるネットワークの構築に関する調査・研究 | (社)静岡県建築士会 |
歴史的変換点における建設活動と社会規範とのかかわりに関する文献調査・研究 | 古阪 秀三(京都大学大学院工学研究科准教授) |
「インテリア・リフォーム系キャリア教育」の産学連携支援に関する基礎的調査研究 | 澤田 知子(「インテリア・リフォーム系キャリア教育」支援構想委員会) |
ソーラーデカスロン競技による住宅建築教育の実績とその効果にかかわる調査研究 | 川瀬 貴晴(千葉大学大学院工学研究科教授) |
国内外における建築家資格制度の仕組みと多様性に関する調査・研究 | 田中 友章(明治大学理工学部建築学科准教授) |
建築実務国際ハンドブック作成事業(平成22年度からの継続事業) | (社)日本建築士会連合会 |
産学連携による分野別インターンシップ制度のあり方に関する調査・研究(平成22年度からの継続事業) | (社)日本建築学会 |
名称 | 実施者 |
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コミッショニング専門技術者(CxTE)普及啓発シンポジウム | NPO法人 建築設備コミッショニング協会 |
「もの・まち・くらし・建築士」ケーブルテレビ番組制作放映 | (社)徳島県建築士会 |
建築系学生のための実習型木造建築学 | 実習型木造建築学運営委員会 |
高校生の建築甲子園 | (社)日本建築士会連合会教育・事業本委員会 |
「未来へ-女性建築家のパイオニアたちの肖像」展覧会及び講演会 | UIFA JAPON(国際女性建築家会議日本支部) |
UIA2011東京大会 関連プログラム『世界住宅会議』 | (社)日本建築家協会関東甲信越支部住宅部会 |
中高生を対象とした霧島市周辺の「環境配慮型建築」および「歴史的建造物」見学講習会 | 鹿児島工業高等専門学校 都市環境デザイン工学科 |
JIAゴールデンキューブ賞作品展(作品展覧会、作品集の出版、ならびに子どもの建築教育についての講演会)の開催 | JIAゴールデンキューブ賞実行委員会 |
建築リフォームハンドブックの作成 | (社)日本建築士会連合会青年委員会 |
建築士・各職人を志す者の伝統的職能体験研修 | (社)建築士共同プロジェクト |
歴史的建造物の保全活用に関する専門建築技術者の養成及び活用に関する講座等の実施 | (社)神奈川県建築士会 |
応募件数は、調査・研究助成31件、普及事業助成21件でした。
調査・研究助成は、個人による申請58%、団体による申請42%でした。申請の区分ごとの割合については、
(1) 建築設計、工事監理業務等(建築設備、インテリアに関わるものを含む)に関する調査・研究:6%
(2) 建築教育、資格制度等(建築設備士、インテリアプランナーに関わるものを含む)に関する調査・研究:39%
(3) 建築技術者の資質の向上、活用方策等(建築設備士、インテリアプランナーに関わるものを含む)に関する調査・研究:10%
(4) (1)から(3) までのうち、2以上の分野にまたがる調査・研究:39%
(5) その他、建築技術の教育普及に資する調査・研究:6%
でした。
助成対象の決定に当たっては、次の方々から構成する審査委員会を設け、慎重に審査を行い、その審査結果に基づき、当センター理事長が助成対象を決定したものです。
委員長 杉山 義孝(日本建築防災協会)
委員 秋山 哲一(東洋大学)
委員 小林 克弘(首都大学東京)
委員 小峯 裕己(千葉工業大学)
委員 鈴木 秀三(職業能力開発総合大学校)
委員 鈴木 眞生(建築技術教育普及センター)
委員 竹内 徹(東京工業大学)
委員 村口 峡子(駒沢女子大学)
今年度9月以降平成24年3月末日までに実施を予定する普及事業を対象として9月頃に募集を開始する予定であり、募集案内は9月上旬頃にホームページに掲載する予定です。
平成24年度に実施を予定する事業等を対象として平成24年3月頃に募集案内をホームページ等に掲載する予定です。
建築技術教育普及調査事業等審査委員会
本助成制度は、調査・研究助成、普及事業助成ともに、実質的に制度が整備された昨年度に引き続き、2年目の年を向かえました。今年度は、助成の全体予算規模を増額し、公募を実施しましたところ、多岐に及ぶ事業内容に関し、多くの件数の応募があり、本制度に対する関心の高さを示しているものと思われます。一方、昨年度からの継続事業や同一事業主体からの提案も多くみられ、事業の幅広い啓発という観点からは、更なる制度の広報・普及に努め、広範な関係者に対して活用が図られるよう、工夫を続ける必要があると思います。今後とも本制度の更なる啓発により、建築技術の教育・普及が一層促進されることを期待するものです。
なお審査に当たっては、以下に記載する観点から各審査委員間で議論を進めるとともに、継続事業に関しては前年度の事業効果等を判断し、その評価を致しました。また本審査結果は、調査・研究や普及活動そのものの絶対的価値を判定したものではなく、本助成制度の趣旨に基づき、助成効果が効果的に得られるであろう案件としての評価を予算の範囲内で、相対的に実施したものであることを申し添えます。
1 調査・研究助成
(1)本助成事業の対象として優位に評価できるか否かについて、下記のア.からウ.の評価基準の観点等を中心に審議を実施し、事業の順位付けを行い、更に助成対象分野間のバランスにも一定の配慮を行ったうえ、予算の範囲内で採択を致しました。
ア. 調査研究が目指そうとしている成果により、建築技術者の啓発や資質の向上が図られること、国民の建築技術者への理解や信頼を深めることが期待できるもの、建築実務、教育制度の在り方等を提案しようとするものであること
イ. 調査研究の実施方法や体制・行程が明確で実行可能なものであり、掲げた研究の目標を達成しうると判断できること
ウ. 既存調査等との類似性の観点から、調査の新規性、独自性が高く、今後の展開の可能性が広いと判断できること
(2)採択された案件については、テーマは多岐にわたっていますが、最近の建築分野における国際化の進展や人材育成の多様化などを背景として、建築関係の資格制度等の国際比較や建築分野の人材育成に関する教育システムなどに関する調査・研究が比較的多く見られました。なお技術に特化した開発研究等や機器購入費用等が予算の大半を占めるものについては、本助成事業の趣旨を考慮し、優位に評価することは致しませんでした。また、調査内容として類似した案件も数件ありましたが先の評価基準に照らし、総合的に優先順位を判断致しました。
(3)なお、継続事業については、特に前年度の成果の状況等を勘案し、継続採択の必要性の有無について判断を行いました。この結果、昨年度の調査・研究において既に一定の成果が得られていると判断し、採択を見送ったものがありました。また継続採択した案件の中にも、成果の関係者への一定の還元について、今後の改善を求めたうえ採択したものもありました。更に、昨年度調査での一定の成果が得られているものの、今年度の申請内容が普及活動にウエイトがおかれているため、普及事業助成の案件として採択を委ねた案件もありました。
(4)以上の審査の結果、調査・研究助成として事業件数13件(うち継続事業2件)の採択を致しました。
2 普及事業助成
(1)本助成事業の対象として優位に評価できるか否かについて、以下のア.からウ.の評価基準の観点等を中心に審議を実施し、事業の順位付けを行い、予算の範囲内で採択を致しました。
ア. 普及活動を通じて広めようとする内容が建築技術者が体得すべき建築実務面で有用な知見であるか若しくは、国民の建築技術者への理解や信頼を深めるものと判断できること
イ. 講演会など企画・実施する方法や体制・行程が明確で、実行可能なものであり期待する効果が発揮できると判断できること
ウ. これまで毎年問題なく実施している等、申請者の本来事業として行うべき事業と考えられるものではないこと(但し、内容や方法に意欲的であり新たな試みがなされようとする等、新規性や展開可能性が判断されるものは例外的に取扱いました)
(2)採択された案件については、従来型の専門家に対する講習、シンポジウム等のほか、地方でのCATV番組制作や中高生などを対象にした普及活動など、多様な取り組みが見受けられるようになりました。また我が国で開催されるUIA等の国際的大会と連携し、その啓発効果を相乗的に高めようとしたものなど、全体の助成効果を高める工夫をしたものもありました。一方では、事業実施の際に普及啓発に当たっての、工夫を要請するなど、助成効果を一層高めるため、努力を求めたものもあります。
(3)なお、昨年度にも同様の事業について採択を行っているものに関しては昨年度の成果の状況等を勘案し、採択継続の必要性について議論を行いました。この結果本年度の事業内容が講座等の啓発事業が主体であり、調査・研究助成として継続申請がありましたが、普及事業助成での採択が適切であるとしたものや、事業内容の一部が、内容的にも参加者的にも限定されており、普及啓発効果が小さいと判断され、その助成金額を圧縮したものもありました。
(4)以上の審査の結果 普及事業助成として事業件数11件の採択を致しました。